武蔵境の家

築30年を超えた平屋の木造住宅の改修です。小学生の娘さんのいる3人家族が新しく住むことになり、その設計を依頼されました。 既存の住宅は中廊下型の日本家屋で、玄関をはさんでパブリックな二間続きの座敷とプライベートな寝室と台所に分けられています。暮らし方と間取りのギャップ、温熱性能の乏しさが課題でしたが、躯体の状態はよく、当時としては珍しいベタ基礎に、ヒノキ普請の丁寧なつくりでした。

改修は南庭に面した中座敷を居間として計画。吹き抜けを設け、居間を中心に家族が集う姿を想像しました。一方で、奥座敷や和室は残し、窓も利用し、工事は室内から行える(足場をかけずに行える)範囲で行いました。効率的に家事を行えるよう短い回遊動線とし、既存空間と馴染むような自然素材(床:ヒノキ、天井/壁:珪藻土)で仕上げました。天井や床下には断熱材を追加、断熱スクリーンを取り付け、障子を再利用し、温熱環境にも配慮しています。

日本家屋のよい部分を生かしつつ、現在の暮らしにフィットする空間づくりを心がけました。

私の住み心地
リビング、台所を建物中央に配置していただいたことで、空間全体を有効に使えるだけでなく、風通しのよい快適な建物となりました。 また、檜材や切妻屋根の天井空間を利用した吹き抜けやロフトの採用により檜の柔らさと空間の広がりを感じることができ、改修ならではの新旧の良さを感じられる気持ちの良い家に大満足です。

所在地 東京都武蔵野市境
用途 専用住宅
工種 改修
住戸面積 111㎡(33坪)
改修面積 82㎡(25坪)
工事費 1000万円台中盤
設計監理 後藤智揮(後藤組設計室)
施  工 村上 聡 石原 匡(村上建築工舎)
設計期間 2016年11月〜2017年4月
施工期間 2017年5月〜2017年8月
ごも日記 「武蔵境の家」編
受賞 日本エコハウス大賞2017 奨励賞
  • 奥座敷から見た居間。

  • 障子を引き込めるようにし、室内から庭をより楽しめるようにした。

  • 断熱改修で、シングルサッシにはハニカムサーモスクリーンを設置した。

  • 既存の障子を再利用し、4本引きにした。

  • ダイニングに面したオープンキッチン。既存の柱も一部整理した。

  • 写真中央はピアノコーナー。引き戸を閉めると個室にもなる。

  • 居間の上部に吹き抜けを設け、既存の梁をそのまま見せる仕上げとした。

  • 吹き抜けに面したロフト。

  • 台所から勝手口まで一直線に伸びた動線。既存窓も活かした計画とした。

  • ゆったりと計画した洗面脱衣室。天板はヒノキ。

  • 東向きの窓を再利用し、既存の引違い窓枠を兼ねて鏡と棚を設置した。

  • 寝室からウォークインクローゼット、洗面脱衣室へ繋がる動線計画。

  • 玄関ホールから居間への眺め。奥が座敷。

  • 和の雰囲気は残しつつ、改修した玄関。

  • 寝室として、玄関脇の和室を残した。

  • 住み始めてからの様子。

  • 枠周りのディテール。

  • 家具周りのディテール。

  • 吹き抜けに面したダイニング。ロフトから夏の熱気を排出するよう計画した。

  • 広葉樹で作った造作のペンダントライト。

ページトップへ