高津の家

 川崎市高津区の住宅地に立つ職住近接の住まいです。敷地は北向きの旗竿地で、以前からあったツツジの樹に寄りそうように計画した中庭のある住宅です。その中庭に面するようにテラスや上の間・下の間、アトリエなどを計画。中庭越しに、ほどよい距離感で立体的に繋がり、外部環境を楽しめるようにしました。上の間はプライベートなリビングダイニング、下の間は子どもの遊び場兼夫の打合せスペースです。子育てしやすいようにワンフロアでコンパクトにも暮らせます。旗竿地で重機が入れないため、人力で立てられるサイズの製材による架構としました。仕上げは無垢材や砂しっくいという自然素材で構成した長期優良住宅です。

 この家づくりは前所有者の庭だった敷地の中で、残す樹木を考えることから始めました。大きな北側のツツジの樹を残し、その樹に寄りそうような建て方を検討。中庭のある「コ」の字型の住宅としました。 また、この敷地は北向きの旗竿地でまわりを住宅に囲まれ、南側には3階建てのマンションが立っています。1階でも自然光で過ごせるように天窓・高窓から吹き抜けを介し、光を落とすことに。下の間の明るさとともに、左官職人のコテの跡が残る砂しっくいの壁が柔らかい光で照らされ、美しい表情を見せてくれます。多摩川からの南北の通風も積極的に取り込んでいます。

所在地 神奈川県川崎市
用途 専用住宅
工種 新築
構造 木造二階建 在来工法 ベタ基礎
敷地面積 131㎡(40坪)
建築面積 58㎡(18坪)
延床面積 102㎡(31坪)
工事費 2000万円台後半
設計監理 後藤智揮(後藤組設計室)
構造設計 村田龍馬 水島佑香 (村田龍馬設計所)
施  工 五味敬之(現場監督) 飯塚金美(棟梁) (友伸建設株式会社)
模型製作 瀧川未純(日本大学)
設計期間 2019年3月-2019年7月
施工期間 2019年8月-2020年4月
ごも日記 「高津の家」編
仕様概要 長期優良住宅、フラット35SAプラン、断熱性能等級4(Ua値 0.50)、耐震等級3
屋根:ガルバリウム鋼板+通気層+スタイロフォーム3種B100mm+高性能グラスウール105mm(屋根断熱)
外壁:ガルバリウム波板(一部 スギ羽目板貼)+通気層+高性能グラスウール105mm(充填断熱)
内壁:砂しっくい(一部 珪藻土)仕上げ、スギ羽目板貼
床 :ナラ無垢材、ヒノキ無垢材、スギ無垢材
基礎:スタイロフォーム3種Bt=60mm(基礎断熱)
冷房:エアコン 暖房:ガスFF式ファンヒーター
受  賞 第64回神奈川建築コンクール 優秀賞 住宅金融支援機構賞
メディア 渡辺篤史の建もの探訪(テレビ朝日 2021/06/12放送)
注文住宅の選び方がわかる本(晋遊舎)
  • ツツジの樹のある中庭。2つのテラスにより、年中利用できる。

  • 春のツツジ。この老木を残すことから計画を始めた。

  • 中庭に面した下の間。左が客間、右がアトリエ。

  • 子どもも使いやすいようL型で段差を設けた下のテラス。

  • ハニカムスクリーン。温熱環境とともに光環境も整えられる。

  • 自然光で過ごせる子どもの遊び場兼打合せスペース。

  • 天窓、高窓からの光に照らされる砂しっくいの壁。

  • 下の間と一体で使えるアトリエ。

  • 上の間。中庭を中心に台所、書斎コーナー、テラスと連なる。

  • 勾配天井を生かした上の間。手前はテラス。奥はタタミの間。

  • コンパクトでもゆったり感じられるような空間構成を心がけた。

  • 上のテラスはリビングやダイニングとともに頻繁に使われる。

  • 窓まわりの障子。使わない時は中央の戸袋に納められる。

  • 吹き抜けまわりの障子。マンション廊下からの視線も遮れる。

  • 上のテラスに面した台所。中庭越しに見えるのはタタミの間。

  • キッチン家具工事、大工工事、建具工事で製作された台所。

  • タタミの間に面するウォークインクローゼット。

  • 本棚に囲まれた妻の書斎コーナー。

  • タタミの間から見た上の間。

  • 左:ロフト。 右:高窓から見える隣家の柿の木。

高津の家の日常

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